Web衰退時代をどう楽しむか – CSS Nite shuffle

6月13日にCSS Nite shuffleに行ってきました。といっても、最後の切り込み隊長と住 太陽さんのセッションだけですが。Web衰退時代をどう楽しむかという表題がタイムリー過ぎたのと切り込み隊長の話を聞いてみたかったので。

自分の中でもちょっと動きが変わってきているなと感じていて、大手の人達数人やWebSigメンバーと話をしていた矢先だったのでこれは聞いてみたいと。

なんとなく関係者っぽい紹介だけど、意外にブログ検索してもエントリーが少なくて、当日に関してはえふしんさん、Junnamaさんのブログをご紹介。

F’sGrage:Webが若干衰退気味かもしれない時にもっておくべき考え〜CSS nite Shuffle行った

Junnama Online (Mirror):CSS Nite shuffle – Web衰退時代とか。

 

■Web衰退に伴うキーワード
私が感じてきていたことでいうと、

1:普通の大規模案件が減少
普通の大規模ってのが編だけど、例えば、一部上場企業の(特にBtoB)Webは、一定品質に達して、まともにするよというだけの大規模リニューアルみたいな案件は少なくなってきていて、運用フェーズに入ってきている。

2:今までの10年強のネット、Webでの限界値
ネット、Webのポテンシャルを(ある意味盲目的に)信じてやってきた人達が、ネット、Webだけじゃ出来ないことが多すぎるということを「実感」として感じきった。

というあたりを感じてました。2に関してはかなりバイアスかかった個人的感覚ですが。

当日指摘されたのは、

3:PV減少
ネットレイティングスの発表で初めてPVが減少したよねという話。
総利用時間の件やAJAX等々のPVに換算されないまわりについてはとりあえず当日は割愛

4:効果が計れないものに金を払えない

5:Webってファーストメディアになれない(なれてない)

というあたりが、こちらは主に広告周りをキーとして衰退のキーワードになった。

 

■Webはホントに衰退してるんだっけ
まず衰退かというかと、いくつかの商品、サービスは衰退してる。でも、それって普通の話で、いくつ目かの成長カーブの段階にあるというだけ。業界そのもののが成熟しきった、つまり、成長余地がないというわけじゃもちろんない。総務省のデータをみても、インターネット人口8,500万人、世帯普及率87%なのでそういった意味では一般化、日常化はしたのは事実で、導入期から成長期にあたって普通のものや技術だけでがんがん売れたという意味では衰退してきている。

当日セッションで話にあがったとおり、なんだかよくわからないという事で金になったというのがもう本気で無理だよねというのがいろんな意味でわかってきたと言うところ。

 

■広告視点
ファーストメディアになれてないというところが最も大きい。かくいう自分もネットのポテンシャルを盲目的に信じてきたタイプで、90年代にぞろぞろとネット界隈に入ってきて、すぐ金にならんと去っていった人達を横目でこんにゃろってみつつ、こんなにネットはおもしろいし、企業と生活者との関係を変え、個人間でもコミュニケーションのあり方を変えると言うことと、金になるならないとはある意味別なところで考えてきたのは本音。

こんなにおもしろいのにっていうところは、今でも全く迷うところはないし、企業と生活者の関係や個人間のコミュニケーションの姿を確実に変えつつあるというのは真実。けど、ヨミが間違っていた?というところでいうと、この変化が起こるのにずいぶんと時間がかかってきたし、まだかかりそうだし、そもそもファーストメディアになれるんだっけという問い。もちろんその間もメシをくわなければならない。

ファーストメディアに近い立ち位置が取れるサービスもあると思うし、ネットはそういった放送的な側面も成立しうると思ってる。PCでブラウジングするWebサイトだけに限らず言えば益々。その一方で、別にファーストメディアを目指す事じゃなくても、そもそもいいんじゃないの?っても思う。放送的通信というか、コミュニケーションがやっぱり醍醐味だから、GDPでもリーチでもインプレッションでもなくて、コミュニケーションベースのリテンションで勝負しなきゃHappyになれないのじゃないか。

後は売るって時にリテンションが生み出している成果ってすごいわかりにくい。AIDMAでもAISASでもAISCEASだろうが、Aで広告というものが今まで成立してきて、そこが今のPC、モバイルのネットって得意じゃないというのがいよいよはっきりしてきた。リテンションでも、効果を(正しいかは別として)わかりやすく言えるようにがんばるってのが目下これからやっていくことだけど、システム投資のROIを図るのと同じくらい難しい。

 

■受託視点
自分たち制作サイドが言ってきた、Webサイトは公開してからが本番ですっていうのが現実になってきている。その一方で、運営・運用フェーズになったときに、特にBtoB企業からはなかなかお金を取りにくくて、結局人だしみたいな形になってきちゃってる側面もある。そういった意味で同じ商売のやり方じゃなかなか厳しいという意味では衰退と言えなくもない。

○じゃあどうする
ここは個人や会社が各々考えるべきなのであくまで一例を。

・コミュニケーションデザイン
生活者とのコミュニケーションデザインを支援するという事で言うとまだまだ余地がある。制作サイドが生活者とうまいつきあい方を知っているかと言えば、特に作ることを価値としてきたところはそんなわけじゃないところもあるけれど、企業ももちろんまだうまくない。

一方、コミュニケーションデザインは広告視点と一緒でリテンションの部分だから可視化がすごい難しい。更に、コミュニケーションデザインでもアテンションを抜きに出来ないからネットだけでは完結しない。そのメディアプランニングをしようと思うとWeb屋だけでは出来ない、なんてジレンマもある。別に棲み分けが明確になってくるという意味では別に困った話でもないといえばないのだけど。

・効率化
作ると言うことが無くなるわけではもちろんないので、そこをいかに効率化していくかというのはもう一つ。ここらのプレイヤーが確立してくると市場的にもその枠組みでは成熟してきているという証拠でもある。

・PDCAサイクル
もっと手前で、そもそもWebはPDCAサイクルといいつつ、制作サイドでも企業サイドでもできているかというとまだまだ出来ている訳じゃないからパートナーとしてどこまで企業サイドと付き合っていくかの腹づもり一つでも結構変わることはあるんだと思う。企業がWeb担当者を雇ってきてるからWeb屋での仕事がうんぬんなんて話も聞くけれど、そもそもが一人、二人のチームを中で持つことで解決しうる価値しか提供できないのであれば、そんな商品が長続きするわけがない。今まで、企業サイドでWeb理解が足りなくてなんて文句を言っていたくらいなら、良い状況になったと思う方が健全じゃないのか。

・長い目で見る
一番消極的ではあるけれど、時代が追いつくと言うことも重要な事だと思う。Webに関わっている人達で、自分たちがやっている事に対する価値とその成果、対価がバランス取れてないと思っている人達は私を含め少なくないんじゃないか。先の可視化とあわせて、リテンション価値を浸透させるようにがんばっていくことか。

もちろん4つだけじゃないけれどどんな戦略をとるかは会社、個人次第。

 

■会場にいて
○切り込み隊長Web好きなんだなぁ
頭の回転早いなっていうのは予想通りだけど、あがってる感を一番感じなくて好感が持てた。メシ食っていくというとのバランスの中で、Web価値と現在評価のギャップをどうするんだ?という考えが好きだった。好き嫌いいってもしょうがないんだけど。

○違和感
スピーカーのお二人に加えて、高木さんという組み合わせなのでキレと毒がある?トークですっきりという企画意図でもあると思ってるので、まぁそれはそれでということではあるんだけど、現場ど真ん中にいる人は、それじゃいかんだろって思う。

正直、会場の雰囲気に違和感を感じた。バサバサ切られてうれしい?ってところは上述の企画意図としていいとしても、同じ土俵で考えるという事をモデレートからも会場からも全く感じられなくて、会場もそれを喜んでいるような空気感に対して、正直なんだこれ?って思ったのはきっとマイノリティなんだろうか。

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